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社会との交流 分子研リポート2007 | 分子科学研究所

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研究支援等 87

4-5 社会との交流

4-5-1 自然科学研究機構シンポジウム

自然科学研究機構シンポジウムは,著名なジャーナリストであり本機構の経営協議会委員でもある立花隆氏によっ て提案・コーディネイトされ,下記のようにこれまでに計4回開催されている。

第1回:「見えてきた! 宇宙の謎。生命の謎。脳の謎。科学者が語る科学最前線」,サンケイプラザ(東京都千代 田区),2006年3月21日。

第2回:「爆発する光科学の世界—量子から生命体まで—」,東京国際フォーラム(東京都千代田区),2006年 9月24日。

第3回:「宇宙の核融合・地上の核融合」,東京国際フォーラム,2007年3月21日。

第4回:「生命の生存戦略 われわれ地球生命ファミリーは いかにして ここに かくあるのか」,東京国際フォーラム, 2007年9月23日。

そもそも本シンポジウムは,自然科学研究機構が国内最高水準の学術的アクティビティーを有しながら一般にはほ とんど知られていないという現状を残念がられた立花氏が,コーディネーターとして自ら進んで計画されたものであ る。氏は,東京大学教養学部で担当されているゼミナールの受講生とともに事前に講演者に取材を行い,最先端の研 究内容をいかに面白く,かつ,分かり易く伝えるかについて,貴重なご助言をされてきている。そのおかげもあり, 事前に予約受付をした500名以上の参加者で毎回会場は満席となり,また,ほぼ丸一日を費やす盛り沢山なプログラ ム編成にも関わらず途中退席する人はほとんどいない。

本シンポジウムに対して,分子科学研究所は以下のような様々な企画で積極的に関与してきている。まず,第1回 において,「21世紀はイメージング・サイエンスの時代」と銘打ったパネルディスカッション中で,岡本裕巳教授が

「ナノの世界まで光で見えてしまう近接場光学」というタイトルで講演を行った。第2回目は,講演会全体の企画を 分子学研究所が中心となって行なった。全講演のうちの半数を分子研のスタッフ(松本吉泰教授、平等拓範准教授、 加藤政博教授、大森賢治教授、江東林准教授)が担当し,中村宏樹所長が閉会の挨拶で締めくくった(詳細は分子研 リポート2006を参照)。なお,本講演会の収録集が,本年度10月に(株)クバプロより出版された。また,本シン ポジウムでは,講演会の開催と併せて,展示コーナーを設けてビデオやパネルを用いた説明を行なってきている。短 い休憩時間をぬって展示スペースを訪れ熱心に質問をされる参加者の方々も多く,「研究の面白さ」を伝える試みが 一定の成果を挙げていることが実感される。

機構シンポジウムは,今後も春秋年2回ペースでの開催が検討されている。第5回は,生理学研究所が中心となっ て2008年3月20日に開催予定である。

4-5-2 分子科学フォーラム

分子科学研究所では『分子研コロキウム』という名前で所員に向けた分子科学のセミナーを開催し,2007年12 月で803回目を終った。これとは別に,分子科学の内容を他の分野の方々や一般市民にも知らせ,また分子研コロキ ウムよりはもう少し幅広い科学の話を分子研の研究者が聞き,自分の研究の展開に資するようにすることを目的とし たセミナーも有益であろうという考えの元に,豊田理化学研究所の協力を得て開催するに到ったのが『分子科学フォー ラム』である。豊田理化学研究所の理事を長年つとめておられる井口洋夫先生の紹介によりこれが可能になり,実際 の運営はコロキウム委員が担当している。年度毎に年間計画を前年度末に豊田理化学研究所の理事会に提出し,承諾 を得てから実施している。

(2)

88 研究支援等

分子科学フォーラムは年6回開催している。第1回は1996年9月にシカゴ大学教授の岡 武史先生,第2回は同年 10月に生理学研究所名誉教授の江橋節郎先生に講演をお願いし,現在までに71回開催されている。今年行われた講 演の中では,大阪大学教授の菊池誠先生によるニセ科学のお話(第69回)に,岡崎近郊の中高校生,市民の方々が たくさん参加され,会場が満席になった。また,市民と研究者を交えた活発な討論が行われた。講演内容では,第 37回の東京大学助教授の高野陽太郎先生,第43回の立花隆さんの講演の他は,自然科学の先生によるお話であった。

この様に,分子科学フォーラムは分子研コロキウムより幅広い人を対象にしたセミナーで,大学院生や社会人も含 めた多くの方々に対して,分子科学やその関連分野の最先端の研究成果をわかりやすく紹介する事を基本趣旨として, 講演者に工夫をお願いしている。毎回簡単な講演要旨を事前に講演者に書いてもらい,それを愛知県内の大学や岡崎 市内の色々な機関に送ると共に,分子研ホームページにも載せている。一般市民の参加数は会毎に大幅に変るので, 開催案内はかなりいきわたっていると思われる。テーマや講演者の選考,広報の仕方等にコロキウム委員のアイディ アが大いに入ってくるので,委員には負担ではあるが,その時毎に結果の出るやりがいのある活動となっている。こ れが分子研と一般社会とのつながりにより大きく貢献するものになっていくことが期待される。

回 開催日 テーマ 講演者

66 2 0 0 7 . 1 . 1 0 夢を現実にする空間の化学

北川 進

 (京都大学大学院工学研究科教授)

67 2 0 0 7 . 2 . 2 8

宇 宙 史 の 暗 黒 時 代 に 迫 る — 最 遠 銀 河 の発見、補償光学、次世代望遠鏡—

家 正則

 (自然科学研究機構国立天文台教授)

68 2 0 0 7 . 3 . 7

ナノフォトニクス

—光技術の質的変革—

大津元一

 (東京大学大学院工学系研究科教授)

69 2 0 0 7 . 6 . 1 3 ニセ科学を考える

菊池 誠

 (大阪大学サイバーメディアセンター教授)

70 2 0 0 7 . 6 . 2 7

量子乱流—もうひとつのダ・ヴィンチ・ コード—

坪田 誠

 (大阪市立大学大学院理学研究科教授)

71 2007.11.14 ナノテクノロジーで生命を測る

馬場 嘉信

 (名古屋大学大学院工学研究科教授)

4-5-3 岡崎市民大学講座

岡崎市教育委員会が,生涯学習の一環として岡崎市民(定員 1,500 人)を対象として開講するもので,岡崎3機関 の研究所が持ち回りで担当している。

分子科学研究所が担当して行ったものは以下のとおりである。

開催年度 講 師 テーマ

1975 年度 赤松 秀雄 化学と文明 1976 年度 井口 洋夫 分子の科学

1980 年度 廣田 榮治 分子・その形とふるまい 1981 年度 諸熊 奎治 くらしの中のコンピュータ 1982 年度 長倉 三郎 分子の世界

1983 年度 岩村  秀 物の性質は何できまるか

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研究支援等 89 1987 年度 齋藤 一夫 生活を変える新材料

1988 年度 井口 洋夫 分子の世界 1991 年度 吉原經太郎 光とくらし 1994 年度 伊藤 光男 分子の動き 1997 年度 齋藤 修二 分子で宇宙を見る

2000 年度 茅  幸二 原子・分子から生命体までの科学 2003 年度 北川 禎三 からだで活躍する金属イオン

2006 年度 中村 宏樹 分子の科学、独創性、そして東洋哲学

4-5-4 その他

(1) 安城市民公開講座等

安城市教育委員会が,生涯学習の一環として安城市民(公開講座は,一般市民約100名,シルバーカレッジ(2年 間)は,熟年者約50名)を対象として開講しているもので,岡崎3機関の研究所が協力して,講師を派遣している。

分子科学研究所が担当して行ったものは,以下のとおりである。 安城市民公開講座

開催日 テーマ等 講 師

2002. 8.10 ナノテクノロジーの話 夛田 博一 助教授

2003. 7.19 レーザー入門〜光の基礎からレーザー研究の最前線まで〜 平等 拓範 助教授

安城市シルバーカレッジ

開催日 テーマ等 講 師

2002. 6. 6 鏡に写った分子の話 魚住 泰広 教 授

2003. 6. 5 分子の振動を観測して蛋白質のメカニズムを明らかにする 北川 禎三 教 授 2004. 7. 6 原子のさざ波と不思議な量子の世界 大森 賢治 教 授

2005. 9. 9 動物の進化 宇理須恆雄 教 授

(2) 岡崎商工会議所(岡崎ものづくり推進協議会)との連携

岡崎商工会議所は産学官連携活動を通じて地元製造業の活性化と競争力向上を目的に「岡崎ものづくり推進協議会」 を設立し多くの事業を行っている。この協議会と自然科学研究機構の岡崎3研究所との連携事業の一環で,会員であ る市内の中小企業との交流会を,2007年6月22日および10月9日に分子研で行った。商工会議所が推し進める「も のづくり」には製造業を主体としていることから第1回は技術課機器開発班,第2回は電子機器・ガラス機器開発班 が中心となって対応した。

交流会は技術課機器開発班および電子機器・ガラス機器開発班の持つ技術領域と関連深い企業,また研究部門から の依頼開発で直面している技術的問題点などを課題とした内容から適合する業種の企業が選定され実施された。第1 回の参加企業は機械系を中心に鍛造,精密加工,放電加工,研磨,溶接,接着の分野から7社,第2回は電子系を中 心にプリント基板設計,電子回路設計の分野から4社の参加で行われた。交流会の内容は,自己紹介の後,レーザー

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90 研究支援等

機器開発研究の平等研究グループの研究室見学および装置開発室の施設見学を行い,その後,相互の技術内容紹介お よびそれぞれの技術班が取り組んでいる技術課題などから「ものづくり連携」の可能性について意見交換を行った。

この交流会を機に現在,マイクロチップレーザー用ヒートシンクの新規製作法開発と有機磁性体の研究で用いる圧 力セルの銅合金系高強度材料の開発が市内の企業の協力で進んでいる。

また,岡崎ものづくり推進協議会が主催する「ものづくり岡崎フェア2008」が2008年2月15,16日の2日間に 渡って岡崎市竜美丘会館に於いて開催され,自然科学研究機構の岡崎3機関として3研究所のニーズを紹介するブー スを出展した。分子研からは前述した交流会から発展した「ものづくり連携」について,技術課機器開発班が市内企 業との開発事例をパネルで紹介した。

参照

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